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やわらかな 日々

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小僧! 地道に走れ!

さんまいのおふだ(こどものとも絵本)

水沢 謙一 / 福音館書店




子供たちがちいさいころ、毎晩読む本を選ぶのに便利だったのは、福音館書店の「こどものとも」「かがくのとも」のシリーズ。
親の好みも、子供の好みも関係なく、さまざまな絵柄と内容で毎月届くおたのしみ。

なにしろ、ものぐさ母さんなので、本屋さんや図書館で「どれにしよう~?」と悩むより、こうしてランダムに届けられるシステムは大助かりなのだ。
なので、こどもが保育園に通っている間中、福音館さんのお世話になった。

こどもに本を読むとき、読み方に抑揚なり演技なりするかしないか。。。といえば
わたしは、ほとんどの場合、なんの抑揚も、感情もつけず、坦々と読むタイプ。

というか。。。。。こどもより先に眠い人なので。。。。。。^^;;

しかし、この「さんまいのおふだ」に限り違った。

なんといっても、その絵の迫力に負けた。
いや、負けてはならない・・・・という気持ちになるのだ。

そして、数ある昔話の中で、これほどスリル満点なお話はないのじゃないか。

おにばばが「こぞう まて~~~~ こぞう まて~~~!!」と追うシーンで
おもわず、鬼ばばになりきる。

そして「げはははは~!」 と、母さんちょっと壊れる・・・・・

(そうしても、娘、まったく動じない・・)

最近、このお話を思い出して ぽーこと話した。

母「母さん、子供のころこれ読んでから、トイレの神様こそ絶対信頼しようとおもったさ~~。
   でもね、これって考えてみて。
  神様のお札は、山を出したり、川を出したりできるのに、アラジンの魔法のランプのように、魔法のじゅうたん出して空飛んで逃げたりしてくれないよね」


ぽーこ「そうそう、ハリーポッターみたいに、魔法の杖で呪文かけて相手の動きを阻止したり、攻撃ビームも出ない」

母「 そうなんだよ。 これって、概念の違いかもしれないね。
   山姥は 悪 ではないんだね。」

ぽーこ「そう。外国では 困ったことは『悪』の中からもたらされるから、『悪』を倒さなければその困ったことは、次から次へとでてきちゃう。
でも、日本では、困ったことは己の中からでてくるものなんだよね」

母「 山姥は悪じゃなくて、『恐怖』ってことか。。。。
   だから、小僧さんはどこまでも自分のその恐怖から自分の足で逃げなくちゃならんのね。」

小僧さんが、山寺にたどり着いてからの和尚さんの、のんきな対応に、聞き手の興奮度も最高潮に達するのだが、山姥が『単なる恐怖』となれば、和尚さんの態度もうなずける。

『恐れ』は、大入道のように膨らめば、豆粒のように小さくもなる。

そして、そんなもの噛み潰してしまえばおしまいなのだ。

己の中の恐怖などそんなもの。


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by vinge | 2010-01-06 10:26 | ほんのはなし | Comments(0)