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やわらかな 日々

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a はん?

夫の本棚からひっぱりだしてきました。

日本人の矜持―九人との対話 (新潮文庫)

藤原 正彦 / 新潮社



帯に書いてあることがすごいね。
『読書せぬものは人にあらず。ケダモノなり』

中身は・・・読んで「うんうん」ってところと「うん??」ってところと、いろいろ。

でもって、思わず「うん!うん!うん!うん!」って頭をぶんぶん振った箇所がひとつ。

斉藤孝氏との対話で、藤原正彦氏の言葉
「全国民に英語を強制する必要などまったくありません。農業をやりたい人、親の店を継ぎたい人、とさまざまな進路があるのですから、将来英語を必要としない人は一切英語の勉強をしなくていい、その代わり、中学高校とたっぷり読書させるぐらいの大胆な選択があってもいい。国民すべてが、しかも小学校から英語をやるというのは、ものすごい国家的なエネルギーの損失で、その時間を読書に向けて欲しいと思いますね。」

もうね。英語って全然ダメです。

中学で流れに乗せられて、英検3級はかろうじて・・・・・・それ以降は、なんというか・・・・・
まったく興味が無いの。今じゃ、その「3級ってなんだっけ??」ってくらい。。。。
ほんとに、全部忘れてるし。

高校はどうして卒業できたのかわからないくらい・・・・

当時の英語担当の「津〇塾卒業したて、才女つるこ先生」(つるこはあだ名、ほんとにそう呼ばれてた)
に呼び出され、ほぼ白紙の答案を前にして(もちろんわたしのだ)

「・・・・・・・・・・あなたね・・・・・・・・英語は お嫌い?」って聞かれて
「はい!嫌いです!!」って、即答。

つるこのやつめ、眼鏡の奥から冷たい目で異星人を見るようにして黙たっけ。
(それでも、卒業させてくれたんだから、感謝)

「もういい。外国には絶対行かないだろうし、英語に関係ないところで働くから!」ってバブル景気の世の中に飛び出したわたしに、ばちが当たった。

転職した会社で、営業部の受付をやる羽目になって。。。。
「ガイコクジン」のお客も、わんさかやってくるのだ。

最初は、どこに視線を向けていいのかさえわからないし、あちら様が「あ~」とかいっただけで、嫌な汗がびっしょり流れてくる。。。いや、その「あ~」さえ聞こえなくなるほど、こっちは拒否反応しちゃうのね。
しかも、あちら様はどなたも「でっかい!」
もうそれだけで充分威圧感あるじゃないのよ。

それでも、「慣れ」って不思議ですのよ。
まあ、受付になんて聞いてくることはもう決まりきっているのだし、こちらも「本日のお客様リスト」ってのがあるので、そのお客の担当者を呼び出しさえすればいい。
輸出部の女の子にいくつかの「文例」を作ってもらって、
「担当を呼びましょう」とか「会議中だから、こちらの部屋で待っていてください」とか
あとは「お茶がいいか?コーヒーがいいか?」とか、そのくらいしゃべれればいいのだから。
ちょこちょこ、「文例」を書いた紙を机の陰から引っ張り出して盗み読みしながらだったけど。。

でも、それですっかり「慣れて」しまって、もう、余裕すらでてきて
口元にはうっすら笑い。(歯は出さずに口角上げて、目は笑わない)
あちら様が、滝のように話しかけてきても
「あ、はん?」とか「ふ、ふん」とか
さも「あんたの言ってることみんなわかるよ。うんうん」みたいにうなずいたりしちゃって。。。

全然、聞き取れてないのだけどね015.gif

「ガイコクジン」がすっかり怖くなくなったけれど、それでも英語はやっぱりだめだった。

会社で「英会話教室」を開くことになって(海外出向者のため)雇った「ガイコクジン」が
本業は「芸術家らしい?」ロベルトという人で
毎日夕方に会社にやってくると、そのための部屋を準備したり、彼にお茶を出したりするのがわたしの役目。

やっぱり、アンチョコ持って「今日はこの部屋を使ってくれ」とか「みんなが会議中だから、あと30分まってくれ」とか、必要なことだけ伝えてさっさと引き上げていく私のことを
ロベルトは「くまたろうはとってもシャイな女の子だ」と、ほかの人に言ったらしい。

時間があると、ロベルトは話しかけてきて、自分はあちこちの国を渡り歩いてきたとか、奥さんは日本人で陶芸をやっているとか、いとこに「ローリングストーンズの誰か」に似た人がいるけど紹介してやろうとか。。
少しだけ日本語、ほとんど英語でそんなことを言ってた。

やがて、ロベルトは会社の教室をやめることになって、別のところで教室をやっているから来ないか?と誘われてしまい、同僚の女の子が「行きたい!」というので、しぶしぶつきあった。

今にも崩れそうな、貸家の一室。
集まっていたのは、それなりに英語のできそうな人たちばっかりで、教材は「英字新聞」のみ。
しかも、初めて行って、いきなりそれを「読め!」というから、さあ大変!!
「例文」ならすらすら話すのに、ここにきて、一気に「できない」ことがばれた!!

たどたどしく、読めそうなとこだけ読んで、ある単語でストップしてしまったわたし。
ロベルトが「ふにゃらら」というけど、その発音ができない!
またロベルトが「ふにゃらら」という

く「ふにゃほにゃ・・・・・・・」 ロ 「ノー ふにゃらら」 く「ふにゃほにゃ・・・」 ロ「ノー ふにゃらら」

く「ふ、ふ、ふにゃ・・・ほにゃ・・・・?」 ろ「ノー ノー ふにゃら・ら!」

く「ふ、ふ、ふにゃ・・・・・・・・できない!!

ロ「できる!!

もー。。。分けわかんないし。。。こんな英会話教室。008.gif

ってことで、一回限りで終わりましたとさ。

それから、20数年。
実は、ロベルトはわたしのうちのわりと近くに住んでいる。

奥さんは陶芸家で、ロベルトはひげもじゃで、「芸術家」なんだか「大工」なんだか、よく知らない。
たま~~に、スーパーなんかで見かけるけど、話しかけたことはない。

奥さんに一度話しかけたことがあって
「ご主人の英会話教室に行ったことあるんですけど、さっぱり私英語できなくって、すぐやめちゃったんですけどね。。」って言ったら、

「ああ、いいのよ。ロベルトだって相変らずいまだに日本語しゃべれないんだから、その気もないしね」 だって。

ロベルトめ!!おまえもか! 
Commented by uroko at 2010-02-02 19:31 x

ぷっ、たいていのことは“おたがいさま!”か~ (^-^)/
Commented by のんのん at 2010-02-03 02:49 x
くまたろうさんにそんな過去があったとは。。。

うん、英語なんて一生必要ない人の方が多いと思うし、
小学校からやることなんて全然ないと思う。

わたしも話す方は、留学もしたことないし、
しゃべらないといけない状況に置かれたこともあんまりないし、
ダメなんですよね~。
でも、必要に迫られたらなんとかなるだろうし、
今は必要ないから別にいいやって思ってます。
一生必要なさそうだけど。
Commented by ムスカリ at 2010-02-03 08:16 x
私も、英語・・・まったく役に立ってないなぁ・・

それより、もっと旨い料理が作れたり、今日みたいな雪道をすいすい運転できる技術がほしい~~~!
Commented by vinge at 2010-02-03 09:55
☆uroko先生

はい!おたがいさまです!! 人類皆兄弟!ってことで。。。。^^;;
Commented by vinge at 2010-02-03 10:04
☆ のんのんさん

ろくな日本語も話せない小学生に英語の必要ないよね~。英語の前に日本語!

それに、わたしみたいに落ちこぼれて変な劣等感ばっかり持つようになってもね。^^;;
でも、あのシゴトのおかげで、ガイコクジンもただのおっさんってことがよくわかったし、いざとなれば、日本語でも結構通じちゃうのよ。伝えたい気持ちさえあればね。
専門のことは専門の人が話せばよろし。

というわけで、のんのんさんが訳してくれた本読めればわたしもそれでいいのよ。
よろしく♪
Commented by vinge at 2010-02-03 10:10
☆ムスカリさん

普通の主婦に(しかもこの田舎で)英語が役に立つことってあんまりないわね~^^;;
業界人(それと政治家)がやたらと「変な英語」交じりの日本語つかってると分けわかんなくて「日本語で言え!!」って叫びたくなるけど。。。。
ルー〇柴じゃあるまい。。。

雪道気をつけてね~。あ、ロベルトはあの温泉(近く)に住んでるわ!
一目で怪しい雰囲気はなってるから、どこかで見つけてね!
Commented by ホーゲル at 2010-02-03 12:05 x
くまたろうさん、なんだかドラマの主人公にでもなりそうな過去をお持ちでしたのね。

英語か・・・・。

私も大嫌いで、ビリージョエルやジョンレノンの和訳など、今頃になって時々調べたりしています。

私は、実際外国(英語圏ではない)に結構長く住んでいた時はその土地の言葉を喋っていたと思うし、実はケンカもした。

家に、英語を喋る客も結構来る。

でも、最近よ、しっかりと目を見て話しを聞けるのなんて。

わからん質問をされたら、

(あっら~鍋が~とかいってずらかりまーす)

私、昔からしゃべれないけど、怖くもないし(喋れないことが)

日本人のほうがよほど自信がないかも・・・・です。
(意味がしっかり伝わるからかしら?)

Commented by vinge at 2010-02-03 13:48
☆ホーゲルさん

日本人相手のほうが?ってことかしら?
そうそう、日本人同士のほうが通じないことがたくさんあるかも・・・・^^;;

ドラマねえ。。。堀〇えみちゃん主演で、のろまな亀のOL物語とか?
いじめもあったし、三角四角な話もあったし(わたしじゃなくて)、いろいろありましたわ・・

ホーゲルさんは。。。ドイツ??にいらした??
ドイツ語って、それ自体が普通にしゃべっても喧嘩っぽくないです?
でも、すごいわ~~。母国語以外を話せる人って、やっぱり尊敬しちゃいます。
ほんとは、いろいろな人とその国の言葉で話せたら、楽しいだろうなあ。。。
ってね。あこがれなんですけどね。。。。^^
by vinge | 2010-02-02 16:30 | ほんのはなし | Comments(8)